糸紡ぎ

手織りをするとき、使う材料を本当に一から作り始めたいという方もいるのではないでしょうか?

綿の花を育てワタを収穫したり、羊を飼っている牧場で刈り取り作業のワークショップに参加して羊毛を手に入れることもできます。

今回は、その材料となる「綿」「絹」「羊毛」について書いていきますね。

orihane
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ひとつめは、綿糸となるワタのご紹介です

綿の花

通称名 ワタ  学名 Gossypium hirsutunm.L  科名 アオイ科

私たちが「綿」「コットンフラワー」と呼んでいるのは「実」になります。ワタの花は同じアオイ科であるハイビスカスに似た花をしています。夏真っ盛りに咲いている「芙蓉」や「タチアオイ」も、ハイビスカスのような花をしていますが、やはり同じアオイ科になります。

ワタの花は7月~11月頃に咲き、その後に実としてでき、はじけた後にあのふわふわの「綿花」が現れます。

この綿花を育てワタを摘み、ついている葉や茎、種などをとり、きれいな綿の状態にしてほぐし、ていねいに紡いでいくと、織物に使える糸が出来上がります。

そのまま白い糸で使うのもいいですが、好きな色に染め上げたりするのもまた綺麗ですよね。

ハーブや野草などの天然染料で染めるとやさしい色合いに、合成染料で色鮮やかに仕上げても素敵です。

天然染料は野や山などで採れる草、茎などしか使えないわけではなく、スーパーで売っているくちなしや小豆、タイムやターメリックなどでも簡単に染まります。アボカドの皮や夏みかんの果皮、旬にしか使えませんが、赤しそも使えます。

皮や実のそのままの色が出ることはあまりなく、赤しそなどはグレーになってしまいますし、ほかの材料も、茶色、グリーンに染まることが多いですね。使用する媒染液にもよりますが、同じものは二度とできないのが、染めのおもしろいところです。

最近はオーガニックコットンという言葉もよく聞くようになりました。肌にやさしく、そのものの色と風合いがほっとさせてくれる商品は多いですよね。

 

コットンフラワーとして売られているものは、ドライフラワーのように飾ると、ナチュラルなインテリアとしてお部屋のアクセントになります。

 

orihane
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ふたつめは絹糸(シルク)です

和名 カイコ  学名 Bombyx mori   科名 チョウ目カイコガ科

絹糸は、お蚕さまが作る繭から細い1本を引き出して作られます。お蚕さまは家畜化された昆虫で野生には生息しないそうです。また、人が世話をしないと生きていけないそうです。

 

お蚕さまは「古事記」にも記述があるそうで、昔からとても大事にされていました。昆虫の「蚕」をわざわざ「お蚕さま」「おしらさま」と呼ぶのも、昔から人間の産業をささえ、衣類などとなり人間の生活を守ってくれているからかもしれません。日本の「万物に神は宿る」という八百万の神の信仰からもきているのかも。

私の育った土地では、小さい頃はまだ養蚕をしていた方もいたので、「お蚕さま」と呼んでいましたし、その納屋で遊んだこともあります。あちこちから「シャクシャク、シャクシャク」と桑の葉を食べている音が聞こえてきて、かわいいとても身近な生きものでした。触るとぷにゅってしていますよね。

毎日シャクシャク桑の葉を食べるお蚕さまを育て、まゆを作ったら、そのまゆを湯がき、そこから1本の糸を引き出していく。その細い糸はとても繊細だけど、丈夫で、温かさもさらっと感も兼ね備えていて、私たちの身の回りを守ってくれています。

織りあげた絹は、角度を変えるとキラキラと光沢を感じられ、高級感もありますし、贅沢な一品になります。絹織物で有名なものは、西陣織、大島紬、結城紬、黄八丈などがありますが、どれも伝統的な由緒ある織物です。

 

お蚕様を自分で育てるのは難しいと思いますので、絹糸を手に入れ、自分で好きな色に染め上げて織るのが良いと思います。私も大学の授業で絹糸を染めましたが、温度調節がポイントになり、染液が高温になってしまうと、すぐ縮れてしまうので注意しましょう。

*番外編 絹をブレンドした化粧品が最近増えており、化粧水やクリームなど、また手軽にシルクマッサージに使える繭もあります。 

 

アルパカ
アルパカ

みっつめは羊毛です。ぼくはアルパカだけどね!

通称名 羊  学名 Ovis aries  科名 ウシ科ヤギ亜科

羊も家畜化され、羊毛を刈られる、羊肉として食されるという目的で飼われていることがほとんどだそうです。羊のフォルムはコロンとしていてとてもかわいいですよね。

羊は生後1~2年たつと、春ごろに毛を刈られます。テレビで刈られたあとの細く、寒そうにしている羊をみたことはありませんか?そうして集められた毛が精製されて毛糸となっていきます。

刈られたばかりの羊毛は汚れなどがあるので真っ白ではなく、少しグレーがかったクリーム色のような感じ。選別され、汚れをとるためウール洗剤で洗います(セーターを洗う時と同じですね)洗い終わったら、絡まっている羊毛をほぐし、一定方向にそろえ巻きあげて、やっと紡ぐ作業にはいっていきます。

糸に精製するときに使うのがスピンドル。シンプルでお安く手軽にできる方法で、木でできた棒で紡ぐやり方です。

スピンドルは各国にあり、少しづつ形が違います。このスピンドルでゆったりと紡ぐのも、おうち時間が長くなった今の、癒しの時間になるのではないでしょうか?

本格的な糸車はアシュフォード社などから出ています。たくさんの糸をつむぐ時や、早く紡ぎたいときには、糸車を使用すると良いでしょう。

 

羊毛をそのままフェルト化してバッグを作ったり、動物を羊毛でちくちくつくったりするのもかわいいですね。

 

今回は、綿、絹、羊毛の取り方をご紹介しました。

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