遠くから香ってきて花はどこ?と探してしまう金木犀の花の香り。
皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか?
中国を原産地とする金木犀は、江戸時代に香りが強い雄の木だけが日本に持ち込まれたそうです。乾燥させたものは桂花とも呼ばれ、お茶や生薬としても使われています。
秋を代表する金木犀は、九里先からでも香ってくると言われ九里香とも呼ばれ、一里は約4kmですから36km先から香ってくる?ということですね。さすがにそれは遠すぎるんじゃ?とも思いますが・・・
オスマンタス(オスマンサス)と言う名でも、香粧品が数多く販売されているので、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
昭和の金木犀のイメージは?
昭和生まれの私には、金木犀は家の周りの植栽に植わっていたりすることが多く、この家の庭には金木犀があるからとわざわざ通ってみたり、花を見つければ近づいてくんくんと嗅いでみたりしていました。
また香りが華やかで強いので、トイレの芳香剤として販売されていたものの印象が強いです。某製薬会社から販売されているトイレ芳香剤は、どの家庭にもあったように思います。
人工的な金木犀の香りではあったけれど、現在みたいにトイレ周りの整備もきちんとされてない地域もあり、嫌な臭いを強い花の香りで消すということが一般的でした。
香りを吸い込んで無臭にするという技術はまだなく、匂いを匂いで制すみたいなことだったのでしょう。
そこで昭和の私たちは、金木犀の香り=トイレ芳香剤の図式になっている方も多いです。それはそれで香りの世界が広がっていたので、私にとってはオーライだったのですが、アロマテラピーに携わるようになり、私の中でその図式はなくなりました。
令和の金木犀のイメージは?
昭和、平成、令和となるにつれ、(平成の時代は金木犀の製品がここまで出回っていなかったけれど)令和となり、コスメフロア、ドラッグストアなどでたくさんの金木犀の香りの製品を見かけるようになりました。
香水、ヘアオイル、ネイルオイル、フェイスパック、ハンドクリーム、シャンプー&コンディショナー、アイマスク、汗拭きシートなど。
もちろん金木犀の精油やアロマブレンド、練香水、リードディフューザーもあります。
金木犀好きの私にとってはパラダイスです。毎年、どの製品を買おうか選ぶのに迷います。
令和になりたくさんの金木犀の製品が出てきて、それを若い世代の方が好んで使っているのを見て思うことは、
「昭和の方が思ってしまうところのトイレ芳香剤の印象が全くないから、ただただ良い香りだと受け取っているから」かなと思います。
ただ素直に「花の甘い香り」「フルーティーな香り」と感じているのだと。
初めての香りを嗅いだ時の印象は深く刻まれますが、その後、何回も触れるうちに印象が変わることもあるので、
昭和世代の私たちが、金木犀の精油や製品を嗅いだ時に芳香剤の印象が強くても、これだけの製品が出てきて嗅ぐ機会が増えたことは、その印象を変えることができるチャンスだともいえるのです。
実際、金木犀の精油の香りを嗅いでもらうと、芳香剤の香りと言っていた方でも、その香りの中から本来の甘さやフローラルな香りや果物のようにフルーティだということに気づいたりするのです。
自分で香りの世界を広げていけるチャンスなんですよね。
キンモクセイの花の成分
- リナロール
- ゲラニオール
- γ‐デカラクトン
- β‐イオノン
- cis-3-ヘキセノール
リナロールは鎮静作用などで知られますが、ラベンダーやネロリ、ベルガモット、クラリセージ、イランイランなど多くの精油に含まれ、ゲラニオールは抗菌、収れん作用がありローズやゼラニウム、レモングラスなどに含まれています。
また、注目していただきたいのが、桃やマンゴーなどにも含まれているデカラクトン。女性の若い頃特有の甘い香りのもととなっていて、年齢とともに減少するそうです。
加齢臭対策として、デカラクトンが含まれる製品が開発されたりもしています。
フレーバーとしての金木犀
1972年にロッテから発売された「Eve」ガム。ふくよかな花の香りのガムは当時小学生だった私をとりこにしました。大人のフレグランスガムだったのでしょうが、あの香りとガムのパッケージや包み紙にワクワクした方も多いのではないでしょうか?
2024年に復刻版が発売され話題になりました。当時のような包み紙とは違いましたが、噛んだときに鼻に抜ける香りはそのままでした。
ローズ、ジャスミン、そしてキンモクセイのフレーバーで作られていて、贅沢な一品という感じでした。お花のフレーバーも菓子類に使われるのだと驚いた商品でもあります。
金木犀の香りの商品が受け入れられている令和だからこそ、復刻版が出たのかなとも思っています。
金木犀が香る秋。これからの季節をぜひ楽しんでくださいね。アロマショップにも金木犀の香りがあふれているので、ぜひ嗅ぎに行ってみてください。