前回、「香水の賦香とは」の記事につづいて、今回は精油の希釈についての記事です。
前回の記事はこちらから ↓
https://ori-ito.com/kousuinohukoutoha/
香水の賦香とは、ベースになるアルコールや芳香蒸留水にどのくらいの割合で香料が入っているかを表す言葉です。
もともと香水は原液である香料とアルコールなどをブレンドし、出来上がった製品のことをいうので、原液そのもので使用するという概念がないわけです。はじめから香水という製品が販売されていて、私たちの手元にやってくるということですよね。
それに対して、アロマテラピーで使用される精油は、原液で販売されていますが、原液で使用するのは皮膚や粘膜などに影響を与えるため、原液使用は危険ですよと一般の協会ではうたわれています。私も原液使用はしないようにと必ずお伝えしています。
では、原液で使用しないならばどうするの?ということになりますが、できるだけ安全に使えるようにするために原液を薄めて使用することとなるわけです。
精油=溶液 植物油や芳香蒸留水=溶媒
精油を基材となる植物油、アルコール、芳香蒸留水、精製水で薄めると、精油(原液)の濃度や純度が下がり、より安全に使えるようになります。これが精油の希釈になります。
香水は香料(天然香料、人工香料)が入っている割合で、パルファン、オーデパルファン、オードトワレ、オーデコロンと呼び方が変わりますが、それははじめから製品として安全性をクリアしている製品です。
精油は、使い方が個人に任されているので、より安全に使用できるよう指導する協会がいくつもあるのです。(希釈率は協会によって推奨されているパーセントが違います。日本人の肌は敏感な方が比較的多いようですか、薄めから使用してみるのがいいと思います)
精油は、化粧品でも食品でもなく、雑貨に分類されます。雑貨だからこそ、使用する個人の安全性に対する考えや、化学成分の働きを知ることがとても大切になってくるのです。
とはいえ、精油で創る香水と呼ばれるものは、化学成分の働きよりもブレンドした時の香りを重視することが多いです。(アロマトリートメントのブレンドは作用もしっかりと考えます)
AEAJアロマブレンドデザイナークラスで使用するアルコール希釈した精油は、ムエットに付けたときにはアルコール臭が強く、精油本来の香りが鼻に届きにくいので、1.2度振ってから鼻に近づけてみると精油の香りを感じ取ることができます。
そのままぶんぶんとしながら嗅いでいる方を時々見かけますが、香りが落ち着いて鼻孔に入ってこないのでおすすめしません。
ムエットの先の5㎝位を折り、「へ」の字にするようにして鼻に近づけます。それからゆっくりと1~2回吸い込むことで香りが感じられます。
香りを嗅いだらその印象を、ぜひノートに書き留めておきましょう。きっと、アロマのブレンドで悩んだ時の参考になるでしょう。
また、香りと記憶、香りと想い出は結びつきが深いものです。「あ、あの時の香り!」とすれ違った人に感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
嗅覚は大脳辺縁系という情動脳と結びついていて、特定の香りを嗅いで記憶や感情が呼び起こされる現象の「プルースト現象」を起こしたり、好きな香りで抗不安作用を得たり、嫌いな香りがストレスになったりするのです。
香りの不思議な魅力。
またの機会に書きますね。