香調(ノート)とは香水(フレグランス)における香りの調子の分類のことを呼びます。
花の香りが中心になっているフローラルタイプや柑橘類の香りが際立っているシトラスタイプ、深い森を感じさせる樹々の香りが漂うウッディタイプなど。
また、香水をつけた瞬間に香りが広がるトップ、少し時間をおいてから香りが感じられるミドル、残り香と言われるように最後まで残っているベース(ラスト)
トップ、ミドル、ベースの分類も香調(ノート)と言ったりもします。
今回は香調のひとつ、シトラスをご紹介していきたいと思います。
シトラスノート
日本では万人受けするシトラス系の香り。フレッシュで元気が出る、爽やかさや初夏から夏にかけて暑さをクールダウンしたり、集中力が欲しい時にもおすすめの香りです。
この柑橘系の香りを主軸にした香調を【シトラスタイプ】と言います。
世界初の香水「アクア・ミラビリス」はベルガモットを中心とした香り。日本でもYANAGIYAから発売されています。
「4711」はベルガモット、オレンジ、ローズマリー、ネロリなどで構成されており、自然香水が好きな方でも取り入れやすい香調となっています。
シトラスタイプの精油
- オレンジスイート
- グレープフルーツ
- ベルガモット
- レモン
- ライム
- ユズ
変わったところで
- タンジェリン
- マンダリン
- クレメンタイン
- カボス
- いよかん
などもあります。
レモングラスやレモンバーベナ、プチグレンなどもかんきつ様の香りがあり、シトラス系に分類されるときもありますが、草を刈り取った時の青臭さやツンとした香りを感じさせるので、ハーバルに分類される場合もあります。
ここではわかりやすく柑橘類に絞ってみましたが、最近では和の柑橘の精油が出始めていて、今まで作成したくてもできなかったタイプの香りにもチャレンジできるかもしれませんね。
*以下、シトラス系の精油をご紹介しています。赤のアンダーラインが引いてある言葉は、個人のイメージの形を言葉にしたものです。嗅ぐ人によって、個人的な背景や経験などで違う形を連想することももちろんあると思いますが、参考程度に書かせていただきました。
オレンジ・タンジェリン・マンダリン
果皮の色味がオレンジ色をしているのが共通しています。
オレンジ色から連想されるイメージは
- フレッシュ
- 元気
- ビタミン
- 賑やか
- 太陽のような
- まろやかな
- なごやかな
といったところでしょうか。
それでは、香りを嗅いでみた印象はどうでしょうか?
オレンジスイート…まろやかな甘さでジューシーさにあふれている やさしいふんわりとした柑橘系の香り 香りの強さは弱く主張しない香り 時間がたつといよかんのような香りになる のっぺりとした 平面的な 密な
グレープフルーツ・ベルガモット
グレープフルーツの香料はイオン飲料に使われていることが多く、日本人が好む風味に仕上がるのでしょう。爽やかでしつこさがないので飽きがこないのだともいえますね。
昭和時代に販売していた「森永製菓のみぞれバー」はグレープフルーツ精油を嗅ぐと記憶がよみがえってくるアイスです。ずっとサンキストから発売されていたと思っていたけどね…夏のプール帰りに良く買って食べたものでした。
ベルガモットは食用としての利用はないようですが、紅茶のアールグレイの香りづけとして有名です。香りづけをするだけで上品に、美味しく飲める紅茶になっているのは素晴らしいと思います。
グレープフルーツ…皮をむいたときそのものの香り 爽やかな苦味があり気分がリフレッシュされるよう 少しの甘さをもち、石鹸様の香りを感じる ザラリとした
*光毒性に注意
ベルガモット…黄色から黄緑色を感じる爽やかな柑橘の香り トーンを落とした柑橘の香りで心を癒す甘さがある 青味をうっすらと感じる 柑橘系の香りの中では上品さを感じる 濃密な平面的な
*光毒性に注意
レモン・ユズ・ライム
柑橘系の精油の中でもツンとした印象をもっているレモン・ユズ・ライムです。
料理に使うことが多いレモンとユズの香りはきっとどなたも好きなのではないでしょうか?
暑い日にレモンの輪切りを蜂蜜につけてソーダ水で割って飲んだり、お蕎麦や冷ややっこに刻んだユズを入れたり、冬至にはゆず湯に入る習慣もあり、日本でおなじみの光景となっていますよね。
それに比べてライムがあまり食卓で使われないのは、インド、マレーシア原産で日本産ライムは出回っているものが少ないせいかもしれません。食材としては使ったことがなくても、精油をかいでみるときっとブレンドに使ってみたくなることでしょう。
レモン…酸っぱくて口がすぼむ感じ フレッシュ 元気ではつらつとしている 若々しくて未熟な感じ 炭酸のようなシュワシュワしている 泡立つ感じ 目が冴えるような 心が洗われるような ジューシーで美味しそうな ウェーブがかった
*光毒性に注意
ユズ…懐かしさを感じる柑橘 苦味とまろやかさが混じる 和やかで落ち着いた香り 和風 主張しすぎない 平面的な
*光毒性に注意
ライム…突き抜けるようなフレッシュな香り 青みのある清涼感 賑やかな 目が冴えるような 青春時代 初夏から7月までの季節 柑橘系の香りの中では寒さがある シャリシャリした尖った氷のような つぶつぶ感 ザラッとした
*光毒性に注意
シトラス系の名香
- 4711(4711)
- シーケーワン(カルバン・クライン)
- オーソバージュ(クリスチャンディオール)
- オ・パフメ(ブルガリ)
- ナイルの庭(エルメス)
- ヴァーベナオードトワレ(ロクシタン)
- ライムバジル&マンダリンコロン(ジョーマローン)
個人的にオーデコロンや香水にはまってしまったのは、資生堂シャワーコロンのフレッシュライムからになります。学生でも手に入れやすい価格で、爽やかなシュワっとした青春を感じさせる香りです。
部活のあとにつけていましたが私にとっては名香になります(今は販売していません)
きっと、みなさんにとっても名香と呼ぶにふさわしいオーデコロンや香水があると思います。きっとこれからも素敵な香りとの出会いがあるかもしれません。それは、自然の花や樹木の香りや、精油かもしれませんし、香水かもしれません。もしかしたら柔軟剤の香りや文具についている香りかもしれません。
天然の香り、人工的な香り。どちらでも自分にとって良い香りだなと思えれば、心や体は「心地よい」に傾いてくれます。
ひとりでも多く、香りの世界を広げていけますように。心から願っています。